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    ソウルメイト 全曲解説

  • 幻想的なピアノイントロ、嵐が吹き荒れ、雷鳴のようなスプリングドラムから歌がはじまる。どんなどしゃぶりの日でも飛行機で雲をつきぬければ広大な青空が広がる。人の心にも同じ場所がある。どんなに落ち込んだ時でもその心の奥深くには光輝く魂が眠っている。オレたちが自分自身と思い込んでいるのはたった数十年契約のレンタル衣装であり、誰もがいつかその衣装を返さなければいけない。
    オレたち本来の姿は何千年、いや何億年、いや永遠の宇宙を旅する魂の勇者なのだ。死んで光の存在にかえれば誰もがわかることだが、生きているうちに本来の自分を思い出せるかどうかが勝負なのだ。どんなにちっぽけで無様な日常を生きている君もこの曲を聴いて気付いてほしい。君は崇高なる永遠の旅人だってことを。

    ライブでも最も人気の高い曲だ。元気なエレキギターのパンクアレンジでノリノリに楽しめる。オレが十代のころバイトしていたコンビニや友人のキャバクラ嬢、営業マンの実体験がリアルにラップ調で語られる。フライヤーのキャッチコピーにもなっている「堂々とまちがえろ、胸をはって傷つけ」は決して学校や社会では教えてくれない。オレたちがこの世に生まれてきた目的は、幸せになるという幻想ではなく学ぶことだ。誰からも褒められる良い子でいるより、たくさんまちがえうんと傷ついた方が人は学び成長する。どうだい、そっちの方が豊かな人生だろ。たとえすべてが思い通りにいかなくても、だからこそ生きていく価値があるんだ。

  • この曲はまるでスタジオジブリのアニメソングにでも使ってほしい名曲だ。未来の子供たちへむけてフクロウの老人が語るメッセージである。

    フクロウはアイヌ民族をはじめ世界中の先住民に崇められている守り神であり、人々に知恵をさずける存在だ。

    この銀河系で唯一青い水をたたえ、豊かな森をかかえるこの惑星はまさに奇跡そのものであり、宇宙の宝石だろう。

    もし輪廻があるならば、未来に生まれる子供たちは自分なのだ。
    インディアンは7世代先を考えてから木を切ると言うが、
    オレたちが子供たちに残せるのは
    財産や廃墟ではなく、
    水の惑星、癒しの森しかないだろう。

     

    4. レラ

    この曲は北海道二風谷に住むアイヌの語り部アシリ・レラ(新しい風)にささげた曲である。
    レラさんは一人で50人もの子供を育てあげた肝っ玉母さんだ。

    差別と偏見の中で消えていくアイヌの文化を後世に伝える貴重なシャーマンでもある。

    オレは様々のアイヌの知恵をレラさんから学び「風の子レラ」という小説を書いた。

    長い間自然と共生してきたアイヌの知恵は決して古い遺産ではなく、未来でオレたちを待ちうけている。
    アイヌ語の挨拶「イランカラプテ」は「あなたの心にそっと触れてもいいですか?」という意味であり、世界で最も美しい言葉の一つだろう。

    ありがとうは「イアイライケレ」、これは「わたしは自分を死なせるほど感謝しています」という意味である。
    自然破壊はすすみ、人々の絆が断ち切られたが、オレたちはもう一度共に生きること、分かち合うこと、愛し合うことを学びなおさなければいけないのだろう。

  • まるでセピア色の古い映画が上映されるように海の風景が広がり、波の音やカモメの鳴き声が聴こえてくるような曲だ。

    オレたちはあまりにも大きな目標を設定し、身動きがとれなくなることがある。

    しかし、この老人は誰に賞賛されることなく、見返りを求めることもなく、ひとつひとつのヒトデを丁寧に海へかえしていく。

    大切なのは地球を救うことではなく、隣りの人に笑顔をむけること、身近で悩んでいる人に手を差しのべること、

    そこから全てがはじまるのだろう。

    ヒトデは英語でstar・fishという。

    海にかえったヒトデはやがて天にのぼり、オレたちの未来を指ししめしてくれる。

    このアルバムのタイトル曲でもあるこの曲は、美しいストリングスと迫力あるアレンジが君の心の扉を開いてくれるだろう。

    ソウルメイトとは日本語で「魂の伴侶、魂の友」と訳される。

    前世から約束されたパートナーであり、君のまわりにいる家族、恋人、友人は、今世という教室でともに学ぶクラスメイトなのだ。

    勿論そこには葛藤やすれちがい、傷つけあうこともあるだろうが、君のソウルメイトはその人でなければ駄目だったのだ。

    それは何度も言うように、幸せのためではなくお互いの魂を成長させるためだ。

     君のソウルメイトは誰?
     そのソウルメイトとうまくいっていないのなら、和解のためにぜひ聴かせてほしい。
     お互いがなぜ出会ったのか、そして何を学んでいくのかを気付いてほしいから。

  • 「広島を音楽で伝えていきたい」と言う友人から広島をテーマにした曲を依頼された。
    オレはもう十数回も広島に通っていて、原爆記念日に流れる歌はその悲惨さを訴えるものばかりだった。

    オレはむしろあの地獄から立ち直っていく命そのものの力強さを描きたかった。
    実際に被爆にあった老人たちに会い、その現実を直接聞きながら、マーマレードのように溶けていくあの日の空がよみがえってくる。
    原爆で生き別れになったカップルが数十年後の広島で再会するというさり気ない物語に、
    命の火を伝え続けてきた人々の人生そのものを描ききった。
    聴けば聴くほど、すさまじいまでの闇と、光輝く生命の力が深みを増してくる作品である。

    オレは幼稚園やさまざまな施設でもライブもおこなっているが、「Hello my mom !」は子供たちにダントツ人気No.1の作品だ。

    宮古島の幼稚園では100人もの園児たちが手話でこの曲を歌ってくれた。

    子育てで悩む母親や障がいをもった子や早世した子をもつ親がこの歌でどれだけ励まされたことだろう。

    言葉をおぼえはじめてから5,6歳までの子供は、お母さんのお腹にいた時や生まれた時の様子を語るという。

    時にはお腹に入る前のことや、この世に生まれてきた意味までも憶えている。

    自分の子供に「ママを守るために生まれてきたんだ」と言われたら、これほど嬉しいことはない。

     あなたは生まれた時のことを憶えていますか?

     どんな子供も自ら親を選んで生まれてきたことを。

  • 美しいフルートが印象的なスローバラード。

    あなたはどこまでも吸い込まれそうな青空に、

    胸を掻きむしられるような切なさを感じたことがありませんか?

    オレたちはこの世に生まれる前にすべての記憶を消される。

    それは決して悪いことではなく、

    まっさらな可能性の上に自分の人生を描いていくためだ。

    人は地に生まれ、天に還るという。

    心の奥底ではオレたちが光に還る場所(天国)に強烈な郷愁をのこしている。

    それが空にひかれる理由かもしれない。

    このアルバムの中では異色のヒップホップアレンジで、機関銃のような言葉の雨があびせかけられる。

    教育やマスコミに洗脳されず、自分の足で立ち、自分の頭で考える。

    新興宗教や群れの一員にならず、どこまでもどこまでも、自分自身であれ。

    なぜならおまえ自身が神なのだから。

  • 11. alone

    アルバムのフィナーレを飾る大曲だ。

    自分と同じ人間など一人もいないし、それぞれがちがうからこそ補い合い、助け合うことができる。

    ちがいを排除するものが淘汰され、ちがいから学ぶものは成長しつづける。

    誰にも従わず、誰も従わせず、君は自分の信じる道を行けばいい。

    オレたちが同じ時代に生まれたのは決して偶然ではない。

    オレたちはこの時代を変えるために遣わされた勇者なのだから。

    英語のことわざで「alone is not lonely」という言葉がある。

    一人でいることは決して孤独ということではない。

    オレたちは「ひとつ」なのだ。

    新しい君の誕生を祝うハッピーチューンである。

    人は出会いの集合体であり、

    新しい出会いのたびに別人のごとく成長する。

    ならば毎日が誕生日、

    一瞬、一瞬が誕生日なのだ。

    このアルバムを聴いてしまった君はもう過去の自分にはもどれない。

    君は本当の自分の正体を知ってしまったからだ。

    君は光輝く愛そのもの、生まれたての君に乾杯!

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    ソウルメイト

    2010年8月リリース。12曲。2500円。